ある冬の日の終わりに

ある冬の日の終わりに

時刻はちょうどお昼。
私はまだ会社を辞めることも決まっていなく、
月に数回、東京での仕事に、
なんだか都会的な生活だな~とデヘデヘしていた頃。

お昼の便で旭川に戻り、
午後は午後で、打ち合わせや撮影があって。
仕事が終わったら明日は久しぶりの休み。
そのままJRに飛び乗り、ススキノへ。

これまた、タイトなスケジュールだと、
俯瞰してはデヘデヘしていた頃。

あの頃、毎晩夢見た「独立」は、
それはそれは輝かしい未来で。

独立から1ヶ月、
過去の日々が輝いて見えるのだからバカたれだ。

初めて入るお店。
なんだここってテンションが上がってね。
こんなところがあったんだ!

知らなかったな~。
店に入る前はいつもの感じ。

でも出るときに、
私はこれからも「映像」の仕事がしたいと強く思ったんだ。


これはブログとしても。
面白い店を見つけたと喜んでね。

奥様がいらしたので、
美味しいですね~なんて話して。

夜はやってないんですかってリサーチ。
渋い店が多い界隈だからね。
ここでハシゴ酒ナイトやったら楽しそうだなって。

でも最近は早く店を閉めるとのこと。
そっか~。
ザンネン!

これとワイン飲んだら楽しいだろうなって考えて。
優しい味わいのソーセージ。

「主人が急死してもう作れないんです」
「冷凍していた在庫を使っているんです」

会計の時にその話を聞き、
胸がギュッとしたんだ。

私はそのまま店を後に。

車に乗って、会社へ戻る途中。
俺、このままでいいのかって思って。

引き返したんだ。

放送しなくていいです、
お金もいらないです、
インターネットにもアップしないし、
誰の目にも触れない、

だから。


ご主人のソーセージを撮らせてください。
最後の一本が提供される前に。
ご主人が愛したソーセージの
熱々の湯気を撮らせてください。

フライパンの上でパチパチ音を立てる、
ソーセージの映像をお母さんに贈らせてください。


丁寧にお断りを受けて。
そうだよな、と反省。

映像。
文章。

私はこのふたつと歩んでいくことを決めて独立して。
不安定ながら楽しくも厳しい毎日のなかで。

この日の記憶はきっと、
私の「初心」だろうと思うんだ。

これから先、
というよりもすでに。
当たり前のように「お金」のことを考えなければならない。

そんな独立一年生。
あの日、神妙な顔で戻った自分が。

初心。

映像はもっと身近にあるべきだと思う。
映像はもっと気軽にあるべきだと思う。

初心。
ある冬の日の終わりに。

HADAKA DENKYU

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あの味は忘れないだろうな~

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4 件のコメント

  • ビデオカメラ持ってないし、私にとっては身近じゃないですね。
    あ、でも、YouTubeなんかは気軽に見れる時代になりましたよね。
    「携帯では見れません」ってやつはガッカリします。
    「閲覧注意!」ってタイトルに書いてあるやつは、たいていショボいですね。
    クオリティの低い動画がいっぱいあります。
    どうせアップするなら、もっとクオリティ高い動画アップしてくれ。と思っちゃいます。

    映像を撮影したら編集もこだわりたくなるんじゃないですか?

    私は凝るタイプなので編集とか面白そう♪

  • >さわちんさん、撮影よりも編集のほうが時間がかかりますよ。テロップのデザインやナレーション原稿、BGMの選定など、やることがたくさんです。でも、編集は楽しいですよ。

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